人はパンのみにて生きるにあらず
アンダーマイニング効果とは、外的な報酬(昇給や昇格など)が内的な動機づけ(やりがいやモチベーション)を損なう現象を指します。この概念は、米国の心理学者エドワード・L・デシ(Edward L. Deci)とマーク・R・レッパー(Mark R. Lepper)によって提唱されました。また、彼らが構築した「人間の動機づけに関する包括的なフレームワーク」である自己決定理論(Self-Determination Theory, SDT)と深い関連性があります。
自己決定理論によれば、人間は次の3つの基本的欲求が満たされることで、やりがいや幸福感を高めることができるとされています:
- 自律性(Autonomy) – 自らの意思で選択し、行動できる感覚。
- 有能感(Competence) – 成長や達成感を感じられること。
- 関係性(Relatedness) – 他者とのつながりや所属感を得ること。
しかし、組織目標が個人のキャリア目標と一致せず、昇給や昇格といった外的報酬だけが評価の指標になる場合、幸福感は著しく低下する可能性があります。特に、役職定年などによって昇給・昇格の機会が失われた場合、個人の内的動機づけが損なわれ、アンダーマイニング効果が発生することがあります。
このアンダーマイニング効果を防ぐためには、キャリアの目的を組織の目標に依存させず、人生全体の中でキャリアを位置づける必要があります。たとえば、お金、健康、趣味といった要素を統合(CF+2H)し、自律的に人生の目的を考えることが重要です。「人はパンのみにて生きるにあらず」という言葉が示すように、自分自身に意味を見出すことが幸福への鍵となります。
