キャリアは組織の枠を超える。
バウンダリーレス・キャリアとは、従来の組織内におけるキャリア形成(昇進・役職など)ではなく、企業、職種、業種の枠を超えて自由にキャリアを構築する考え方を指します。この概念は、シリコンバレーのエンジニアたちが、異なる企業でスキルを磨きながらネットワークを拡大し、成長していく「ジョブホッピング」の影響を受けて誕生しました。1990年代に米国の組織行動学者マイケル・アーサー(Michael B. Arthur)と、組織心理学者デニス・ルソー(Denise M. Rousseau)によって提唱されました。
バウンダリーレス・キャリアは、個人にとっては価値観を重視した自立的なキャリア形成を可能にし、企業にとっては柔軟な組織構築や、新しい人材の導入によるイノベーションの促進につながります。しかし、個人には雇用の不安定化、企業には人材の育成や定着の困難といったデメリットも伴います。
日本では、経営のグローバル化や技術革新の加速によって終身雇用制度の維持が困難となり、「ジョブ型人事」と併せてバウンダリーレス・キャリアへの注目が高まっています。この考え方を実現するために重要なのが、キャリア自律性とリスキリングです。企業が従業員の生涯キャリアの責任を負いきれない現状を踏まえると、国によるリスキリングやキャリアコンサルティングの支援が非常に重要となっています。
