資産バブルを生みだした法の抜け穴
営業特金は、証券会社が自己裁量で運用を行い、後から委託者からの運用指示があったように調整する特定金銭信託です。同様の制度は、米国にも存在し、マネージドアカウント、ラップアカウント、ヘッジファンド、プライベートエクイティファンドなどがあります。しかし、米国では「損失補填」や「利回り保証」が明確に禁止されています。
金融規制緩和が進み、金融機関同士の競争が激化する中、銀行の大型定期預金との厳しい競争に対応するため、証券会社は特定金銭信託に「損失補填」や「利回り保証」を付加し始めました。プラザ合意により国内投資をせざるを得なくなった企業に対し、証券会社は財テクという名目で大量に商談を獲得するようになります。この資金が株式市場に大量に流れ込み、1985年から1990年の間に日本の株価は3倍に膨れ上がりました。一方で、バブル期の消費者物価指数の上昇率は0.1~3.1%と比較的穏やかであり、これが「資産バブル」と呼ばれる理由です。
バブルによって資産家は大きな利益を得る一方、バブル崩壊により庶民が大きな損害を被ることになります。大蔵省は、米国のように営業特金を規制していなかった問題に気付き、1989年に急いで通達を発出し、「損失補填の禁止」「利回り保証の禁止」「投資顧問契約の義務化」などを指示しました。しかし、時すでに遅く、積み重なった損失補填の影響で証券会社は窮地に立たされ、バブルの崩壊へとつながりました。
バブル崩壊後、企業の資金はグローバル投資へと向かい、特に中国における工場や現地法人の設立が進みました。バブル経済を生み、日本経済を破壊した営業特金という法律の抜け穴は、政策や法制度の重要性を私たちに改めて問いかけています。
