労働分配率

企業が生み出す利益がどれだけ従業員に還元されているのか?

労働分配率とは、企業活動によって生み出された付加価値のうち、人件費が占める割合を示す指標です。この指標は、企業と労働者が協働して生み出した利益のうち、どれだけが労働者に還元されるかを表します。

企業の付加価値(利益)は、人件費や販管費に支出され、残ったものが営業利益となります。さらに、営業利益から営業外損益や特別損益を加減し、法人税・住民税・事業税を控除したものが当期純利益になります。そして、当期純利益から株主への配当を差し引いたものが内部留保として企業に蓄積されます。

日本企業の内部留保総額は、12年連続で過去最高を更新し、600兆円にも達しています。一方で、労働分配率は長期的に一貫して低下傾向にあります。諸外国と比較すると、ドイツ、フランス、イギリス、イタリアの労働分配率は60%を超えているのに対し、日本と米国は50%台に留まっています。

この低下の背景には、大企業の市場支配、アウトソーシングの拡大、雇用形態の変化(フリーランスや非正規雇用の活用)、労働組合の弱体化、最低賃金の上昇ペースの遅さなどが影響しています。労働分配率の低下は、資本家や株主への資産集中を引き起こし、格差社会の進行につながる可能性があります。

もっとも、内部留保の増加そのものは必ずしも問題ではありません。労働分配率が低くても、国内設備投資が増え、景気が活性化し、給与の絶対額が上昇すれば問題は小さいでしょう。しかし、現状では投資の多くが海外に向かっており、2023年の対米投資では日本が5年連続で最大の投資元となりました。今こそ、国内投資の活性化に向けた取り組みが求められるのではないでしょうか。