イールドカーブ・コントロール(YCC)

増える海外投資と増えない賃金

イールドカーブ・コントロール(YCC)は、中央銀行が長短金利に目標を設定し、誘導する政策です。これは、アベノミクスの金融政策の重要な柱の一つとして導入されました。具体的には、短期金利については日本銀行の政策金利残高にマイナス金利を適用し、長期金利については日本銀行が長期国債を購入することで金利を誘導します。

同様の政策は、米国において1942年から1951年にかけて実施されました。これは第二次世界大戦の戦費調達のため、大量の国債発行に対応する目的で導入されたものです。

日本のイールドカーブ・コントロール(YCC)は、2024年3月に廃止が決定されました。YCCは金融市場の歪みを引き起こし、財政ファイナンスの状態に陥るリスクを高めると同時に、中央銀行の独立性を損なう可能性があると指摘されていました。

YCCはデフレ脱却を目的として導入されましたが、その目的は十分に達成されたとは言えません。その要因の一つとして、企業がYCCによって得た資金の多くを国内ではなく海外に投資したことが挙げられます。実際、1995年に22.5%であった大企業の海外投資比率は、2020年には46.9%に上昇し、2025年には50%を超える勢いを見せています。

一方で、庶民の生活には負担がかかりました。YCCの影響で預貯金の金利がほとんどつかず、資産形成が難しい状況となっています。また、賃金の停滞と相まって、経済的な厳しさが続いています。

YCCが導入された2016年から2024年の金融政策を改めて検証し、その影響を正確に評価する必要があるのではないでしょうか。