政府備蓄米

元来、政府備蓄米は主食用である。

政府備蓄米の歴史は、戦後に施行された食糧管理法の時代(1942年〜1995年初頭)に始まります。もっとも、正確にはこの時代以前にも、たとえば江戸時代の囲米制度(かこいまい)など、飢饉や災害に備えた米の備蓄が行われていました。
話を現代に戻すと、食糧管理法のもとでは、政府が米の流通と価格を一元管理し、持ち越し在庫を確保することで、不作や災害発生時の需要に対応していました。
しかし、1993年に戦後最悪とされる大冷害により大凶作が発生し、政府の在庫は底をつきました。その結果、アメリカ・中国・タイなどから計259万トンの緊急輸入を余儀なくされました。
この反省を受け、政府は1995年に「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」を制定し、備蓄米制度を正式に制度化します。
この新制度では「回転備蓄方式」を採用し、毎年約20万トンの米を政府が買い入れ、主食用や福祉用として同量を市場に放出。これを5年間繰り返すことで、常時100万トンの備蓄を維持する仕組みとされました。この制度の大きなメリットは、備蓄米を適時市場に放出できるため、米価を安定させつつ備蓄コストを抑制できる点にあります。
しかし、2011年の東日本大震災以降、米価が上昇傾向に転じたことを背景に、政府は主食用備蓄米の放出を中断し、その用途を福祉・飼料用に限定しました。これはいわゆる「棚上げ備蓄方式」と呼ばれます。
棚上げ備蓄では、毎年約20万トンを買い入れ、凶作・災害時を除き、主食用市場以外の福祉・飼料用に減退し、毎年約20万トン放出し、5年で全量を入れ替え、常時約100万トンを目標に維持することを目的とします。これにより、売却収入を得られないため、備蓄コストは従来の約5倍に膨らんだ可能性があると指摘されています。
なお、小泉農相によるこの方針は、「米価引き上げ策の一時停止」に過ぎないとの見方もあります。制度の本質的な見直しは、いまだなされていないのが現状です。