GROUND NEWS より
国際エネルギー機関(IEA)と加盟各国は12日、戦略備蓄から過去最大となる4億バレルの原油を放出する方針で合意した。イラン情勢の緊迫化を受け、供給不安が強まるエネルギー市場の安定を図る。
中東の要衝であるホルムズ海峡では2月28日以降、軍事的緊張の高まりを背景にタンカー航行が急減している。同海峡は世界の原油・LNG取引の約2割を占め、物流停滞が価格変動を招いていた。一方、G7財務相会合では戦略備蓄放出の判断が先送りされていた。
IEA加盟32カ国が保有する緊急備蓄は計18億バレル規模で、今回の放出分の国別割り当ては未公表。米国、日本、韓国、カナダなどが対象となる見通しだ。原油価格は一時70ドル台から120ドル近くまで乱高下し、12日にはいったん下落に転じた。中国やインドも動向を注視している。
IEAは加盟国に90日分の輸入量に相当する備蓄保有を義務付けており、世界全体の備蓄は昨年時点で82億バレル超。中国は約12億バレル、インドは30日分の備蓄免除措置を持つなど、各国の備えには差がある。
戦略備蓄とは
エネルギー供給の途絶や地政学リスクに備え、各国政府が原油や石油製品を長期保管する制度。国際エネルギー機関(IEA)は加盟国に「輸入量90日分以上の備蓄」を義務付けており、需給逼迫時には市場安定化のため共同放出を実施する。備蓄は国家備蓄と民間備蓄で構成され、地下貯蔵施設やタンク群に分散して保管される。価格急騰や物流混乱が生じた際の緩衝材(バッファ)として機能し、エネルギー安全保障の中核を担う。
